「インスピ浪漫2」ライナーノーツ
はじめに
最近INSPiと一緒にデビュー当時の曲を歌う機会があった。引っ張り出してきた昔の楽譜を見てメンバーの誰かが笑いながら言った。「20代前半って感じの楽譜だな」と。
確かに力作だったが、どこか歌が持っているメッセージを拾えていないアレンジ。そんな印象を私も持った。 『インスピ浪漫2』は実に7年ぶりのオリジナルアルバムだ。 もちろん世界を旅して持ち帰った想い、伝えたいメッセージが詰まっている。 しかしそれだけではない。 7年分積み重ねてきた曲作りの技術、バンドとしての経験がきちんと音に表れている。 INSPiとして伝えたいものを伝えるために、必要な音が鳴っている。 そもそも違う人間が集まって『声』という楽器のみでそれを表現するというのは、レコーディング作業としてはとても面倒なのだが、彼らはそれを楽しみながら作り上げた 。 とても大切な旅の途中経過をじっくりと聴いていただきたいと思う。 サウンドプロデューサー 引地洋輔 曲別ライナーノーツ
M1 かざぐるま
海外を旅してる時ほど、遠くの日本の事を考えました。例えば朝起きて、「今頃日本では、みんな寝付く頃かな」とか。 遠く離れた場所で、同じ時間を過ごしていないけど、 僕らは同時に生きている。きっと頑張ってる。 そして、今、同じ時間を過ごしている人とは、日本に帰れば別々に生きていく。けど、 同時に生きていく。きっと頑張ってく。 僕はそれがとても素敵に思えたし、だからどこにいようが、 今いる場所や人との出会いをもっと一生懸命に楽しまなきゃ。と思いました。 日々起こる些細な出来事や出会いに、不感症になるんじゃなく、 受け止めて心を動かしたい。 風を受けて回るかざぐるまのように。 大倉智之 M2 MANY!
数年前、「君の作る歌詞って、前向きすぎる」と指摘された事があり、どうもそれが気になって、歌を作る筆が進まない時がありました。 それでも、僕は世の中は素敵なことが沢山沢山沢山あると信じれたモンが勝ちと思って、 半ば開き直りで「many」と連呼する歌を書きました。 まだ言い足りないくらいです笑。 今回のアルバムのテーマに通じますが、 そういう沢山あるものを感じれるアンテナを大切にしたいです。 大倉智之 M3 エサホイ
「かけ声」をテーマにした曲。昔から僕らは、声を合わせて、力を合わせて、 重いモノを運び、土地を開き、働き、前に進んできました。 そこに響く「エイサ、ホイサ」のかけ声。 それはまさにアカペラのひとつの形だと思います。 それを強く思ったのは、 2011年の東日本大震災の後に被災地を訪れた時です。 言葉を絶する景色を前に、僕は「かけ声」の事を考えました。 沢山の人が集まって、力を合わせるために、発するかけ声。 そんな声が響きますように。 そんな願いを開放したくて、 東京に戻ってこの曲を作りました。 大倉智之 M4 滑走路
この曲をつくっているときが、ちょうど2014年ソチ冬季オリンピックの真っ最中でした。浅田真央選手の感動的なフィギュアフリー演技がニュースを賑わせていて 彼女がテレビインタビューで繰り返し口にしていた言葉 「今までやってきたこと全て出し尽くす」が僕の心にずっと残っていて。 誰もが羽ばたく夢を叶えられるとは限らない、 それでも跳ぶための滑走路はきっと足もとにある。 あなたの滑走路を信じて歌います。 杉田篤史 M5 ドンと来い!
誰でも無条件で信頼できる自分に絶対的な自信がある そんな人はあんまりいません もしいたら、ちょっと怪しんでしまう世の中 だけど、物事を前に進めていくのは、 一緒に動こうとする人を信頼する事と たとえ虚勢であっても自信を示す事 INSPiとして13年間歌ってきて 改めて認識した事実です そしてそれは、誰の人生にも言える事 新しい環境に飛び込む時 人生 の岐路に立った時 「ドンと来い!」の気持ちで 進んでいけますように 北剛彦 M6 good
作曲期間中、なかなかメロディが浮かばなく悶々としながらベッドに倒れこんで眠ってしまった。そのとき夢の中でビッグバンド編成で流れてきたのが この曲のサビのメロディでした。 目覚めてすぐに曲が仕上がりました。 歌詞はそのときちょうど還暦を迎えようとしていた両親のことを思い浮かべて書きました。 「大事な人だから守る」のではなく「守るからこそ大事な人になる」 長年連れ添う二人とは、きっとそういうものなのかな、と想像して。 あなたの「大事な人」を思って聴いてほしい歌です。 杉田篤史 M7 ネバギビラ
元々は、「全ての人の人生は、書き出してみれば、それぞれに特別な素晴らしい物語になる」という言葉に触発されて伸二が作っていた歌詞を、手直しする形で作りました。僕らの日常は、自分が思ってるよりドラマチック・・なはず! あとは、それを逃さないアンテナを常に持ってたい。 人生を書き出す機会なんてないよ、って人は、 どうか試しに日記でも書いてみればいいと思う。 そうやって、まずは探していくことが大事だと思うし、 「ネバギビラ」 ってのはその合言葉のつもりです。 大倉智之 M8 ココロの根っこ~Akar hati~
「片言って、ええなあ」大学時代、短期留学したアメリカで感じた事です。 短い文章、少ない言葉でしか話せない分、心がストレートに出る。 言葉は便利だし必要だけど、多く話す必要は必ずしもない。 インドネシア公演が決まった時、まずそのことを思い出しました。 片言のインドネシア語こそ伝わると信じて、この歌を作りました。 初めてインドネシアで歌ったとき、一行歌うたびに起こった拍手は忘れられません。 「わかるよ、わかる」と言ってもらえてるようでした。 訪問する国が増える度に、この曲の言語も増えていきます。 長年歌っているこの曲ですが、常に新しく生まれ変わっている曲です。 大倉智之 |